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街外れの小さな画廊で、オーナーの桐谷雅夫(60)が閉館後の展示室で倒れているのが見つかった。発見は翌朝、出勤した事務員による。死因は頭部の打撲で、死亡推定時刻は十九時半から二十時半のあいだ。正面のシャッターは下りていたが、裏口の鍵は開いていた。この画廊の鍵を持つのは、オーナーを除けばこの三人だけである。
- 早乙女 玲33・この画廊の専属画家
八年前からこの画廊に作品を置いている。言葉を惜しまず、何でも比喩で語りたがる。
「十九時には画廊を出ましたよ。二十時には自宅のアトリエで、下地を塗っていました。絵の具が証人です」
- 黒木 一49・画廊の事務・経理
十二年にわたって画廊の帳簿と搬出入の台帳を管理している。必要なことしか言わない。
「十八時半に上がった。あとは家だ。妻がいる。それで十分だろう」
- 宮下 ひかり28・画廊の受付
三年目。来客対応と展示の案内を担当する。言葉遣いが過剰なほど丁寧で、よく気がつく。
「十八時に上がらせていただきました。ただ、一度だけ画廊に戻っております」
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